塗料の研究(2)ウレタン樹脂塗料

塗料いろいろ

ウレタン樹脂塗料とは?

ウレタン樹脂塗料はポリウレタン樹脂を主成分とする塗料です。二液型(主剤と硬化剤を混合)で使用されることが多く、化学反応によって硬化するため、耐久性や耐薬品性に優れています。
(なお現在は、弱溶剤型の二液・一液の両方がございます)

✅ メリット(利点)

  1. 高い耐久性・耐候性
    紫外線や雨風などに強く、屋外使用にも適しています。
  2. 優れた塗膜性能
    光沢があり、仕上がりが美しく、耐摩耗性・耐薬品性にも優れています。
  3. 付着性が高い
    下地との密着性が良好で、様々な素材に塗布可能(金属、コンクリート、木材など)。
  4. 柔軟性
    塗膜がある程度の柔軟性を持ち、クラックに追従する性質もあります。

塩化ビニールの雨樋など、場合によっては目荒らしをして下塗り無しで塗装する場合もございます。それだけ付着性能が高い塗料です。

❌ デメリット(欠点)

  1. 施工時の取り扱いが難しい
    二液型の場合、混合比率の管理が厳しく、熟練を要します。但し、弱溶剤の一液型もございます
  2. コストが高め
    アクリル樹脂塗料などと比べると、材料費・施工費が高くなる傾向があります。
  3. VOC(揮発性有機化合物)の問題
    溶剤型の場合、施工中にVOCを発生させるため、環境負荷や作業者への安全対策が必要です。

(今後の展望)

  1. 水性ウレタン塗料の普及
    VOC規制や環境意識の高まりにより、水性タイプのレタン樹脂塗料が注目されています。水性であれば臭気も少なく、環境負荷も低減されます。(なお、寒冷地は気温の低下の問題もあり、溶剤としてはよりマイルドな弱溶剤ターペン可溶型ウレタンが主流です。)
  2. 高機能化の進展
    耐熱性、自己修復機能、抗菌・防カビ機能など、多機能化された製品が登場しつつあります。
  3. サステナブル素材との融合
    バイオマス原料やリサイクル素材とのハイブリッド化も研究が進められており、脱炭素・SDGsの文脈でも今後の需要拡大が期待されています。(水谷ペイント製バイオマスR)

まとめ

ウレタン樹脂塗料は、その高い性能から建築現場でも広く採用されていますが、環境対応や施工性の課題もあります。今後は「高性能」と「環境対応」の両立が求められ、水性化や新素材との融合がキーとなっていくと思われます。

次に代表的な商品です。

代表的な建築用ウレタン樹脂塗料

█ 日本ペイント(ニッペ)

◆ ファインウレタンU100
  • 種類:二液弱溶剤形ポリウレタン樹脂塗料
  • 特徴:低汚染性・耐久性・美観性に優れ、幅広い用途に使用可能
  • 用途例:外壁、鉄部、木部など

█ 関西ペイント(カンペ)

◆ セラMレタン
  • 種類:セラミック変性ポリウレタン樹脂塗料
  • 特徴:耐候性に優れ、長期美観維持が可能。低汚染・防カビ性能あり
  • 用途例:外壁、屋根など
◆ アレスウレタン
  • 種類:弱溶剤形ウレタン樹脂塗料(1液型・2液型あり)
  • 特徴:作業性が高く、DIYからプロ施工まで幅広く対応

█ エスケー化研(SK化研)

◆ クリーンマイルドウレタン
  • 種類:低汚染・弱溶剤形ウレタン樹脂塗料
  • 特徴:汚れにくく、耐候性にも優れたバランスタイプ。価格と性能のバランスが◎
  • 用途例:マンション、戸建住宅の外壁など

█ 水谷ペイント

◆ 水系ナノウレタン
  • 種類:水性ウレタン樹脂塗料(ナノ技術採用)
  • 特徴:水性ながら高耐久で、環境負荷の少ない設計。臭いも少なく室内施工向き
  • 用途例:外壁、室内壁、学校・病院などの建築物

█ 大日本塗料(DNT)

◆ ビュートップウレタン
  • 種類:溶剤形ポリウレタン樹脂塗料
  • 特徴:美しい光沢と優れた耐久性。鉄骨・コンクリート構造物に強い
  • 用途例:大型建築、橋梁、工場など

今回は、屋根用塗料、また強溶剤塗料は割愛いたします。

その他ウレタン樹脂塗料は、二液型強溶剤塗料重防食(橋やタンク)などに使用されております(環境型として二液の弱溶剤も採用されているようです)。

また、自動車補修分野では、溶剤型ウレタン樹脂塗料は主流です。(関西ペイント・レタンPGシリーズ等)
しかし近年オール水系化が進み、水性ウレタン樹脂塗料も使用されております。

防水材も、塗膜防水はウレタン樹脂が主力です。ウレタン樹脂の仕上がり感は、自動車補修でも判りますように肉もち感や高級感のある光沢で、建築では当初屋根用に採用されました。
現在ではより耐候性の高い一液変性のシリコン樹脂の屋根用塗料にその座を明け渡してしまいましたが、根強い人気もあるようです。
今後もウレタン樹脂塗料は、水系化や一液仕様などにかたちを変えて進化していくものと思われます。

ペイントコーディネーター(エコト担当) 菅井

この記事を書いた人

菅井さん

菅井 清浩

株式会社オイカワ美装工業 相談役。環境事業部部長として、「ecoto(エコト)」ブランドをプロデュースしています。地元でも話題の肌にやさしい除菌水「ホットスプリングパワー」の販売にも尽力し、通販サイト(BASE)の運営管理も担当。

おすすめ記事